ロープ不要の外壁清掃へ:WCBロボティクスがEOSのSLSで外壁清掃をスマート化を実現

WCB Robotics | ロボット事例

5 x

より費用対効果が高い

特定のケースでは、EOSのSLSは機械加工に比べて最大80%コストを削減しました。

18 x

労働時間の削減

造形時にサポート構造を必要としないSLSにより、後工程における作業工数を最大で18分の1に削減できます。

~ 68 %

軽量化

目標重量16kgを達成し、従来の機械加工設計と比べてシステム全体の重量を68%削減しました。従来の機械加工設計で推定される重量は30~50kgです。

高層ビルのガラス清掃は今もなお、多くの現場で作業員がロープにぶら下がって行われています。危険を伴い、時間とコストがかかるうえ、天候に左右される作業です。WCB Roboticsは、こうした課題を解決するために、「E.L.M.O.」を開発しました。「E.L.M.O.」はバッテリー駆動のロープ不要な外壁清掃ロボットで人の手に近い品質で外壁を登り、清掃を行います。1回の清掃で使用する水はわずか約1リットルです。重量16kg未満と軽量で、最大100km/hの強風下でも安定して稼働するように設計されています。今なお高層ビルの約99%で人手に頼っている外壁清掃という作業に対して、「E.L.M.O.」は一貫した品質と安全性をもたらします。

その飛躍を実現するため、WCB Roboticsは厳しい公差を満たし、高温・湿度・紫外線といった過酷な環境にも耐えながら、システム全体の軽量化を可能にする量産対応部品が必要でした。しかも、対象となる部品点数は500点以上にのぼります。従来の機械加工やコンシューマー向け3Dプリンティングでは、こうした要求に対応することができませんでした。EOSの選択的レーザー焼結(SLS)技術とPA2200の組み合わせにより、設計の自由度、耐久性、そして高い再現性を確保。チームは試作段階から、堅牢で現場投入可能な製品へとスムーズに移行することができました。

 

課題

設計が進化するにつれ、WCB Roboticsの部品は旋盤加工やCNC加工、アクリル板加工といった従来工法の制約を超えるものになっていきました。複雑な内部流路、AIによって最適化された有機的な形状、そしてますます厳しくなる公差要件により、機械加工は時間とコストがかかるだけでなく、多くの場合、実現そのものが困難になっていったのです。FDMやSLA(光造形)による試作も検討されましたが、公差のばらつき、耐クリープ特性や耐熱性の不足、耐久性への懸念、さらに作業負担の高いサポート構造の除去工程による部品損傷や生産性低下といった課題が明らかになりました。チームが求めていたのは、造形後の追加工程を最小限に抑え、そのまま製品として使用できる量産対応部品でした。加えて、世界各地で稼働するロボットに求められる、軽量でありながら高い剛性を備え、55℃・湿度99%の高温多湿環境から乾燥した極寒の冬季環境まで耐えうる環境耐性を持ちながらも、コストやリードタイムを過度に増やさないことが条件でした。

3Dプリント外壁清掃ロボット E.L.M.O. | WCBロボティクス

ソリューション

WCB RoboticsはEOS SLSとポリアミド材料を標準技術として採用しました。構造用シャーシ部品、ロボットカバー、および主要アセンブリ(軽量ペリスタルティックポンプ、特許出願中のマルチポート水ボトル、CFD最適化スクイージーを含む)をEOSの樹脂3Dプリンターで造形後すぐに実運用へ投入できる部品の製造を実現しています。

 

「EOSの3Dプリンティング技術は、従来の製造の限界を超え、形状が機能によってのみ決まる世界を可能にします。そのSLS装置は、積み重ねられる一層一層を通じて、開発者の想像を現実のものへと変え、これまで実現不可能だったロボット「E.L.M.O.」のような製品を生み出してくれました。」
ウジャワル・アガルワル, WCB Robotics創業者

 

EOSのSLSはサポート除去を必要とせず、繊細な形状を損なうことなく、約0.5mmといった微細なディテールまで、構造強度を保ったまま造形することを可能にしました。材料として採用されたEOS PA2200は、軽量でありながら高い剛性を備え、耐クリープ性、熱安定性、耐湿性のバランスに優れています。さらに重要なのは、EOSの高いプロセス一貫性により、ロット間でも安定した品質が確保され、手戻りの削減と後工程での組立作業の簡素化が実現したことです。WCB Roboticsは、この点こそが、高度に複雑な部品を少量生産する体制を、現実的で持続可能なものへと変えた決定的な要因だったと語っています。

 

「決め手となったのは、PA 2200の性能とEOS装置の高い再現性でした。複雑な形状、超軽量構造、そして高い寸法精度を、一切の妥協なく同時に実現できます。」
WCB Robotics エンジニアリングチーム (社内コメントより)

ロープレス外壁清掃ロボットE.L.M.O.の内部からの眺め | WCB Robotics

結果

EOS SLSへの切り替えは、製品の性能だけでなく、開発・事業の進め方そのものを大きく変えました。技術面では、500点以上にのぼる多様な部品において安定した寸法管理を実現するとともに、機械加工では不可能だった内部流路の統合や、過酷な気候条件にも耐えながらシステムの軽量化を両立する高耐久樹脂部品の製造を可能にしました。一方、運用面では、サポート除去作業を不要とし、不良品の削減や試作・改良サイクルの短縮を実現。その結果、市場投入までの期間が短縮され、清掃品質を維持しながら75dBという静音性を備えた、実運用可能な製品の開発を可能にしています。

WCB Roboticsの清掃ロボット「E.L.M.O.」は、3Dプリンター製のポンプ、水タンク、スクイージー、駆動システム、カバーにより、現在安定して稼働しています。製造は市場のニーズに基づき容易に規模拡大が可能です。需要に応じた生産により倉庫コストや過剰在庫リスクが最小化されるため、運用リスクも低減されます。

 

「EOSのSLSはロボットを実現しただけでなく、ビジネスの拡張性を高めました。素早く改善重ね、安定した品質で生産を行い、自信を持って出荷しています。」
ウジャワル・アガルワル、WCB Robotics 創業者

 

SLSへの移行後、ロボットの複雑性が大幅に増加したため、従来手法との同等比較試験は不可能となった。しかし実際には、現行部品の多くは当初から目標重量での機械加工が不可能であった。特定の部品では、WCBが機械加工と比較して最大5倍のコスト差を確認しており、これが少量生産かつ高複雑性生産においてSLSが唯一の現実的な選択肢である理由を裏付けている。

3Dプリンティングで実現した外壁清掃ロボットによる清掃の様子 | WCBロボティクス

要点まとめ

  • サポート材の除去と後処理の最小化により、サポート関連の作業時間を18分の1に削減。代表的な例である吸盤では、手作業が約9時間から約30分に短縮された。
  • 迅速な設計反復と機能性最終用途部品の直接製造による市場投入期間の短縮。
  • 小ロット・高複雑性部品の製造において、多段階加工を単一のSLS造形に統合することで単位コストを削減。特定のケースでは、SLSは機械加工に比べて最大5倍のコスト効率を実現した。
  • 温度と湿度における現場信頼性の向上:民生用FDM部品は通常45°C前後で故障する一方、SLS部品はより薄型設計であっても60°Cまで堅牢性を維持している。
  • 目標重量16kgを達成し、従来の機械加工設計と比べてシステム全体の重量を68%削減しました。従来の機械加工設計で推定される重量は30~50kgです。
  • 約75デシベルの静粛性を実証済み——ライブ展示会や屋内デモに適応——清掃品質を維持しながら(用途に合わせた形状設計により実現)。

 

会社概要(簡略版)

WCB Robotics(インド・ハイデラバード)は、高層ビルのガラスを安全かつ持続可能に清掃するロープ不要のスマートファサード清掃ロボット「E.L.M.O.」を開発。特許取得の非接触吸引技術と自動車グレードの安全電子機器を採用し、清掃1回あたり約1リットルの水しか消費せず、最大風速100km/hの環境下でも稼働可能。

3Dプリント外壁清掃ロボットのクローズアップ | WCB Robotics

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