3D Sleepの積層造形による歯科用装置が、患者に快適で安心な睡眠を提供
3D Sleepは、いびき・睡眠時無呼吸症候群・歯ぎしり治療用の口腔内装置の製造方法を革新している、オーストラリアを代表する歯科睡眠医療企業です。信頼性が高く、装着感に優れ、臨床的にも高品質な歯科睡眠装置への需要増大に応えるため設立されました。そして早い段階から、従来の手作業によるアクリル製装置の限界を認識していました。これらの製造工程は時間がかかり、品質にばらつきがあり、個々の技工士の技量に大きく依存していたため、量産化が困難で、快適性や耐久性の面でも妥協を強いられることが少なくありませんでした。
これらの課題を克服するため、3D SleepはEOSのシステムと生体適合性ナイロンを用いた先進的な積層造形(AM)技術を導入しました。これは大きな転換点となり、高精度・均一性・優れた量産性を実現するとともに、装置の強度・品質・装着感、さらには患者の治療成果を大幅に向上させました。
3Dプリントへの移行を決めた際、EOSは最も知名度の信頼性の高いメーカーとして際立っていました。医療機器を安定して高品質に製造するために不可欠な、高精度と優れた部品の再現性を提供してくれたのです。
3D Sleep共同ディレクター ケン・リー博士
課題
従来のアクリル製の下顎前方移動装置(MAS)の製造には大きな課題がありました。この工程は技工士による完全な手作業で行われ、個人の技術力に大きく依存していました。非常に熟練した技工士でも、1日に製造できる矯正器具は3~4個が限界でした。「従来のアクリル製MAS製造法では、どれほど優秀な技工士でも1日に3~4個しか製作できませんでした。個人の技術力に大きく依存する工程だったため、積層造形技術を導入する前は事業拡大に限界がありました」と、3D Sleepの共同ディレクターであるケン・リー博士は説明します。この限られた生産能力はスケーラビリティを大きく制約し、多数の歯科技工士を雇用する必要がありました。さらに、 アクリル素材そのものにも課題がありました。装着感を高めるために薄くすると破損しやすくなり、一方で耐久性を優先して厚くすると、患者の快適性や装着継続率(コンプライアンス)が低下してしまうという、難しいトレードオフが存在していました。
装置の破損は大きな問題であり、患者からの日常的な苦情につながるだけでなく、部品が外れて、稀に誤飲や誤嚥を引き起こすといった安全上のリスクも伴っていました。多くの患者が3年以内にアクリル製装置を破損させていました。これらの破損対応には多くの診療時間が費やされ、歯科医は1日の半分を破損した装置を装着した患者の診察に充てていました。3D Sleep共同ディレクターのサム・タルピス博士は次のように振り返ります。「EOS技術で製造された耐久性の高いナイロン製装置に切り替える前は、アクリル部品の破損について患者から毎日のように電話がかかってきていました。しかし、その問題は今では完全になくなりました」
ワークフローも煩雑で、実物の型をラボへ発送し、石膏模型を硬化させるために1日待つ必要があるなど、多くの手間がかかっていました。また、アクリル粉末や液剤を使用する製造工程は複雑で扱いにくいものでした。さらに、紛失または損傷したアクリル製装置を再製作する場合には、最初からすべての手作業工程をやり直す必要がありました。手作業で処理されたアクリルには未硬化モノマーが残留する可能性があり、生体適合性の面でも懸念がありました。
ソリューション
3D Sleepのワークフローは完全にデジタル化され、口腔内スキャンデータを電子的にラボへ送信する方式に切り替わったことで、物理的な型取りが不要となりました。 技工士はCADソフトウェアを用いて装置を設計することで、手作業による製作と比べて設計効率を大幅に向上させました。完成したデジタルデータはEOSシステムに転送され3Dプリントによって製造されます。<br>リー博士は次のように述べています。「3Dプリントへの移行を決めた際、EOSは最も知名度と信頼性の高いプロバイダーとして際立っていました。医療機器を製造するために不可欠な高精度と高い再現性を提供してくれたのです」このコメントは、適切な技術パートナーを選定する重要性を示しています。
後処理工程では、患者の歯の3Dプリント模型にナイロン製装置を装着し、必要に応じて微調整を行います。しかし、EOS技術の精度と一貫性により、こうした調整は最小限に抑えられています。また、デジタルモデルを活用することで再製造も容易になりました。装置を紛失または破損した場合でも、保存されたデータから迅速に再製造できるため、従来のように最初から工程をやり直す必要がありません。
この新しい製造方法は、環境面および運用面でも明確な利点をもたらしました。従来の煩雑で労働集約的なアクリル製造工程に代わり、より清潔で効率的なプロセスを実現したことで、材料廃棄物の削減とリードタイムの短縮を可能にしました。EOSの積層造形技術をデジタルエコシステムに統合することで、3D Sleepは拡張性・信頼性・将来性を兼ね備えたソリューションを確立しました。医療従事者と患者双方に、優れた品質・快適性・高い性能を提供しています。
結果
EOS技術の導入により、大幅な改善が実現しました。ナイロン素材への切り替えにより、装置の厚みはアクリル製の2~3 mmから0.5~1 mmへと大幅に薄型化され、強度や耐久性を損なうことなく、より快適な装着感を実現しました。3D Sleepは耐久性と患者の快適性を両立することに成功し、従来のアクリル製装置におけるトレードオフを克服しました。その結果、患者の装着継続率(コンプライアンス)とQOL(生活の質)は大きく向上しました。 特に注目すべきなのは、長年課題となっていた装置破損の問題が、ほぼ完全に解消されたことです。毎日のように寄せられていた破損に関する苦情や修理対応に費やされる診療時間はほぼなくなりました。現在では数千個規模の装置の中で実際の破損は年間でごくわずかしか発生していません。これにより患者の安全性と安心感は大幅に向上しました。
デジタルワークフローの導入により業務は大幅に効率化され、技工士はより多くの設計案件に対応できるようになりました。また、物理的な型や手作業によるアクリル加工に伴う遅延や煩雑さも解消されました。タルピス博士は次のように述べています。「手作業による装置製作は非常に労働集約的で煩雑な工程でした。それに比べて、EOSを活用した当社の製造プロセスは、はるかにクリーンで効率的なデジタルオペレーションとなっています」保存されたデジタルデータから装置を再製作できるようになったことで、従来のように最初から作業をやり直す必要が無くなり、大幅な効率向上が実現しました。 EOS FORMIGA P 110システムの高い精度と再現性により、安定した品質と優れた適合性が確保され、調整作業にかかる時間も削減されました。AM技術は3D Sleepの統合型ビジネスモデルにおいて不可欠な存在となっており、香港、ニュージーランド、シンガポールをはじめとする海外市場への事業拡大を支えています。
従来のアクリル製法では、どれほど熟練した技工士でも1日に3~4個しか装置を製作できませんでした。これは個人の技術力に大きく依存する小規模な工程であったため、積層造形技術を導入する前は事業拡大に限界がありました。
3D Sleep共同ディレクター ケン・リー博士
結果の概要:
- 装置の破損をほぼ完全に解消し、患者からの苦情や緊急修理対応を大幅に減少しました
- 装置の厚みを0.5~1mmに薄型化し、強度を損なうことなく患者の快適性を向上させました
- 煩雑な手作業を効率化されたデジタルワークフローへ置き換えることで、業務を効率化し、リードタイムを短縮しました
- 技工者1人あたりの設計処理能力を向上させることで、人員を増やすことなくラボの規模拡大を可能にしました
- 保存されたデジタルデータを活用することで、迅速かつ確実な再製造を可能にしました
- EOS 3Dプリントによる高い精度と一貫性により、装着時の調整時間を削減しました
EOSシステムとナイロン素材を活用することで、ついに両立が難しいとされていた要素を実現することができました。患者にとって非常に快適でありながら、同時に高い耐久性を備えた装置を製造できるようになり、従来のアクリル製装置で必要だった妥協点を克服することができました。
3D Sleep共同ディレクター ケン・リー博士
「EOS技術で製造された耐久性のあるナイロン製装置に切り替える前は、アクリル部品の破損について患者から毎日のように電話がかかってきていました。しかし、その問題は今では完全に解消されています。」
3D Sleep共同ディレクター サム・タルピス博士
会社概要(簡略版)
3D Sleepはオーストラリアの歯科睡眠医学専門企業です 専門分野は いびき、睡眠時無呼吸症 無呼吸症、歯ぎしり(ブラキシズム)向けの先進的な口腔内装置の設計・製造を専門としています。デジタルワークフローと積層造形技術の統合により、3D Sleepは耐久性と快適性に優れた装置を提供し、患者の安全性向上と医療従事者の業務効率化を実現しています。
詳細情報: https://3dsleep.com.au/