木漏れ日

なぜ3Dプリンティングは「責任あるものづくり」なのか

2022年8月24日|読書時間4分

EOSでは、「Responsible Manufacturing(責任あるものづくり)」を基本理念の一つとして掲げています。しかし、責任あるものづくりとは何でしょうか?また、積層造形(AM)は、製品の環境負荷低減にどのように貢献できるのでしょうか。

 

業界別の活用事例

工業生産が地球と気候に与える影響は否定できない。2021年世界炭素収支報告書では、炭素排出量は前年比4.8%増と推定され、ほぼ2019年の排出量レベルに戻った。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2021年の世界のエネルギー関連温室効果ガス(GHG)排出量は、2020年のレベルからほぼ5%増加した。2020年レベルから2.1ギガトン(Gt)増加し、2021年には36.3Gtとなり、これはCO2e 排出量の前年比増加としては過去最大である。

環境問題がますます重要性を増す中、温室効果ガス排出量の削減や環境負荷の低減は私たち一人ひとりが取り組むべき共通の責任です。あらゆる産業活動は、一定の環境負荷を伴いますが、適切な理念のもとで新たな方針や取り組みを導入することで、その影響を低減することが可能です。

 

責任あるものづくりとは何か

EOSでは、効率や品質を犠牲にすることなく、製造プロセス全体にわたってより良い変化を生み出すことを目指し、より優れた産業向け製造技術の開発に取り組んでいます。積層造形(AM)のさらなる発展を通じて、先進技術の可能性を探求し、より持続可能なアプローチが企業や人々、そして社会にもたらす価値を広く発信しています。

持続可能なものづくりでは、環境への影響を考慮しながら、製造プロセスや技術、材料の選定、調達方法を見直し、環境負荷を可能な限り低減することを目指します。具体的な取り組みは企業によって異なり、輸送に伴う環境負荷を削減するためのサプライヤー変更から、従来の製造方法に代わる新たな製造プロセスの導入まで、多岐にわたります。 

EOSにとって、責任あるものづくりとは、長年にわたって培ってきた先進的な技術と専門知識を活かし、お客様のサステナビリティ目標の達成を支援することを意味します。積層造形(AM)は、デジタルバリューチェーンを通じて実現される「製品イノベーション」と「サプライチェーンイノベーション」という2つの革新をもたらします。製品面では、積層造形(AM)により、用途に最適化された設計や製品のカスタマイズが可能になります。また、必要な時に必要な場所で生産するオンデマンド生産や分散型生産、さらには材料の循環利用を通じて、将来のサプライチェーンをより持続可能で責任あるものへと変革していきます。

積層造形(AM)は、企業が責任あるものづくりを推進するためのさまざまな可能性を提供します。その例をいくつかご紹介します:
 

軽量設計

積層造形は、部品設計において幅広い可能性をもたらします。従来の製造プロセスと比べて設計上の制約が少なく、さらに設計・シミュレーション技術の進化を活用することで、部品の形状だけでなく使用する材料も含めて根本から見直すことが可能になります。また、積層造形(AM)により、切削加工などの従来工法では実現が難しい複雑な形状設計にも挑戦できるようになります。その代表例が熱交換器です。熱交換器は、高い表面積密度によって熱を効率的に移動させ、エネルギー回収を促進することで、システムの効率性や信頼性の向上に貢献します。Conflux Core™熱交換器では、AMの活用により、外形サイズを維持しながら表面積を大幅に増やすことに成功しました。実際には、新しい設計の熱交換器は従来のモデルよりも小型化されています。その結果、放熱性能は約3倍に向上し、より効率的なエネルギー回収を実現しました。

 

過剰生産の削減

AMの大きな魅力の一つは、部品生産をオンデマンドかつ分散型生産モデルへ移行できることです。従来の製造では、多くの場合、必要数量を上回る部品が大量生産されます。その結果、余剰部品の保管が必要になるだけでなく、それらの製造に使用された材料も無駄になってしまいます。一方、オンデマンドによる3Dプリンティング製造では、必要な数量だけを迅速かつ効率的に生産することが可能です。これにより、材料の無駄を抑えながら、余剰在庫の保管や不要な部品の廃棄を最小限にすることができます。

この課題に直面していた企業の一つがEvoBus社です。バスやトラックの交換用部品が1個だけ必要な場合でも、15個、20個、あるいは100個単位で発注せざるを得ないことがありました。しかし、AMの活用により、必要な数量だけを供給できる新しいスペアパーツ供給モデルを構築することができました。これにより、必要以上の在庫を抱えることなく、効率的な部品供給を実現しています。

さらに、AMでは造形時に未溶融の粉末材料(製品になるために溶融されなかった粉末)の大部分を、次回以降の造形に再利用することができます。再利用可能な粉末の割合は、用途や使用する材料によって異なります。例えば、標準的なPA12では、50%のリフレッシュレートで運用することが可能です。これは、新しい粉末を50%、再利用粉末を50%使用して造形することを意味します。これらの数値は材料や用途によって異なりますが、一般的に積層造形(AM)では、切削加工などの従来工法と比べて廃棄される材料の量を大幅に削減することができます。その結果、材料の有効活用を促進し、より持続可能な製造プロセスの実現に貢献します。

 

責任ある資源調達

近年では、サステナビリティを考慮して開発された積層造形(AM)向け材料が増えています。さまざまな材料の特性を検討することで、製品の品質や機能性を維持しながら、リサイクル可能な材料や長寿命な材料、さらには植物由来の材料を活用することが可能になります。その好例が、EOSが提供するPA11ポリアミド粉末材料です。PA11は、ヒマシ豆を原料とする再生可能な植物由来資源を活用した材料であり、従来の樹脂製造のあり方を見直す取り組みの一例と言えます。植物由来の持続可能な資源を活用することで、環境負荷の低減と高い性能の両立を実現しています。

EOSは、先進的な積層造形(AM)技術と材料を通じて、サステナビリティを考慮したデジタルソリューションを提供し、現在および将来の製造業が直面する課題の解決を目指しています。そのために私たちは、製造プロセスのあらゆる段階において、エネルギー効率の向上、廃棄物の削減、そして資源の責任ある活用に継続的に取り組んでいます。私たちは、イノベーションと創造力によって、責任あるものづくりを新しいスタンダードとして確立できると信じています。

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