産業用AMの生産性を最大化する

2026年6月30日 | 読了時間:6分

 

医療、エネルギー、航空宇宙分野では、試作から量産へ移行するために、複雑な形状を造形できるだけでなく、生産性、品質、再現性まで考慮したAMシステムが求められています。こうした分野で成果を上げるにま、装置、ソフトウェア、材料を最適に組み合わせ、製造効率を高めるとともに、材料ロスや工程の無駄を削減することが重要です。

粉末床溶融結合(PBF)技術は成熟期を迎え、工程の最適化によって大きな成果を生み出せる段階に入っています。今日のPBFシステムは、単に消費電力を抑えるだけでなく、造形速度、材料利用効率、後工程の負荷まで含めた総合的な効率向上が重視されています。また、ビーム制御技術の進化や高度なプロセス制御により、高い品質と再現性を維持しながら、量産に対応できる生産能力の実現が可能になっています。

 

産業用3Dプリンティングの生産効率を支える技術

AMにおける製造効率は、装置の消費電力だけで決まるものではありません。自動車や航空宇宙分野では、自動化技術や機械学習、フィードバック制御、予知保全などを活用しながら、生産コスト削減と装置稼働率向上に取り組んでいます。こうした技術を組み合わせることで、生産性の向上と安定した運用を実現し、量産への対応を可能にしています。

デジタル化された製造プロセスも生産効率を高めるうえで重要な役割を果たします。例えば、「EOS System Suite 」は、装置から収集したリアルタイムデータを一元的に管理し、品質保証や生産計画に活用できます。これにより、各造形ジョブの状況を可視化し、管理しやすくなることで、受注から造形開始までのリードタイムを30%短縮しています。さらに、3Dプリンティングの効率向上に貢献する技術革新はこれだけではありません。

樹脂3Dプリンター「EOS P3 NEXT」

次世代ビームシェーピングによる生産性向上

金属PBFにおける生産性向上を支える重要な技術の一つが、次世代ビームシェーピング技術です。レーザーの照射特性を造形条件に応じて動的に制御することで、形状や材料によっては生産性を50%~100%向上させることが可能です。また、この技術はスパッタやヒュームなどの不要な副生成物の発生を大幅に抑制します。その結果、造形環境をより清浄に保つことができ、粉末材料の再利用率向上にも貢献します。

さらに、造形時間の短縮は、運用コストの削減に直結します。造形サイクルが短くなることで、部品1点あたりの消費電力を低減できるだけでなく、不活性ガスの消費量も大幅に削減できます。こうした効率化により、開発や生産リードタイム短縮、部品製造に伴う環境負荷の低減にも貢献します。

生産効率向上を実現する主要技術

生産性向上のためには、造形サイクル全体にかかる時間を短縮することが重要であり、その実現を支えているのが装置性能の進化です。例えば、EOSP3 NEXTは、温度制御技術やスキャン戦略の最適化により、予熱時間を33%短縮し、造形プロセス時間を36%短縮、冷却時間を90%短縮しています。その結果、実際に造形に寄与しない待機時間が大幅に削減され、エネルギー損失の低減にもつながります。また、EOS P3 NEXTは従来機種であるP 396と比較して、大幅な生産性を実現しています。さらに、プロセスチャンバの温度が十分に低下すると、省エネルギー待機モードへ自動的に移行し、窒素供給、圧縮空気、冷却システムを停止します。これにより、造形を行っていない時間帯のエネルギー消費を大幅に抑えることができます。

金属AM分野では、EOS M4 ONYXがこの考え方をさらに発展させています。6基の400Wレーザーと高度な制御技術により、生産性を50%向上させるとともに、部品コストを約30%削減できます。また、統合された異常検知機能により、品質保証にかかるコストを50%削減することが可能です。これらは、最大97%の装置稼働率と30分以内に次のジョブへの切り替えを実現するシステム設計により、生産現場の効率向上に貢献します。 さらに、EOS M4 ONYXはレーザー数の増加に加えてプロセス安定性も強化されています。その結果、造形時間を短縮できるだけでなく、不活性ガスの使用量を削減し、部品製造に伴う環境負荷の低減にもつながります。

現在実用化されている技術に加え、EUの研究プロジェクトでは、AIを活用したビームシェーピング技術と、複数の波長情報を用いて造形状態をリアルタイムに監視するマルチスペクトルイメージングによって、生産性が600%以上向上したことが報告されています。こうした研究成果は、次世代AMシステムの技術ロードマップを示すものとして注目されています。

6基の400 Wレーザーと画期的な新フィルターシステムを搭載した「EOS M4 ONYX」

レーザーによる入熱制御技術とサポートレス造形の実現

寸法精度と熱安定性は、特にエネルギー分野や航空宇宙分野の高負荷部品において、金属AMの重要な課題です。EOS Smart Fusionは、造形中の状態をリアルタイムで監視しながら、レーザーによる入熱を自動的に調整する高度なフィードバック制御技術によって、これらの課題に対応します。各層の熱状態を最適に維持することで、安定した品質を確保し、造形不良や内部欠陥の発生リスクを大幅に低減します。

入熱制御技術の効果は設計段階にも及び、特にサポート構造の削減に大きく貢献します。チタン、ニッケル合金、鋼などの材料では、SmartFusion を使用することで、必要なサポートを最大 80% 削減できます。これにより、造形時間を最大 20% 短縮できるだけでなく、材料消費量の削減にもつながります。さらに、複雑な金属部品で必要となるサポート除去などの後処理工程を大幅に削減できるため、製造コストや作業負荷の低減にも貢献します。

 

AMがもたらす事業価値

ハードウェアとソフトウェアの技術革新を組み合わせることで、製造現場の効率向上を実現できます。生産性の向上と材料ロスの削減により、部品あたりの製造コストを低減できるため、複雑形状部品や一体化設計部品において、AMは従来工法に対する有力な製造選択肢となります。また、装置稼働率の向上と停止時間の削減により、生産設備全体の設備総合効率(OEE)の向上にも貢献します。

サポートを最小限に抑える造形技術や最適化されたビーム制御技術は、産業用3Dプリンティングの将来を支える重要な技術です。これらの技術により、コスト競争力を維持しながら、より高性能で高付加価値な部品の製造が可能になります。AM技術が進化を続ける中でも、EOSの目指す方向は明確です。最高品質の部品を、より効率的かつ持続可能な製造プロセスで実現することです。

効率向上は、AMにおける持続可能なものづくりを実現するための最も直接的なアプローチでもあります。消費エネルギーの削減、材料使用量の低減、資源利用の最適化により、部品あたりの環境負荷を大幅に低減することが可能です。このように、プロセス効率の向上は、経済的価値を生み出すだけでなく、環境負荷の低減にも貢献します。こうした特徴は、AMが持続可能で将来性のある製造技術であることを示しています。

 

生産効率向上への次の一歩を

高度な装置性能とデータを活用した生産プロセス最適化を組み合わせることで、生産効率の向上を具体的な成果として実現できます。リードタイムを数週間単位で短縮したい、これまで再利用が難しかった材料を有効活用したい、あるいはサポート構造を削減して後処理工数を削減したいとお考えのお客様に対して、EOSの最新システムは、こうした課題に対する実績あるソリューションを提供します。EOS P3 NEXTによる樹脂AMの高速造形から、EOS M4 ONYXのマルチレーザーによる高い生産能力まで、生産現場を変革するために必要な技術はすでに実用化されています。

効率向上は、ゴールではなく継続的な改善の積み重ねです。EOSは、最適化と技術革新を通じて、お客様の製造現場の競争力向上を支援します。AMを活用した生産効率向上について詳しく知りたい方は、ぜひEOSまでお問い合わせください。

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