金属3Dプリンティングのコストを理解する

部品コストを削減し、投資対効果(ROI)を最大化する方法をご紹介します

2026年8月25日 | 読了時間:5分

 

金属3Dプリンティングは、軽量で高性能な金属部品の製造を可能にする技術として、さまざまな産業分野で活用が広がっています。メーカーにとって、予算管理や投資対効果(ROI)を向上をさせるためには、金属3Dプリンティングのコストを正しく理解することが重要です。金属3Dプリンティング部品のコストは、使用する造形方式、材料費、造形容量、生産・運用コストなどのさまざまな要因によって大きく変動します。

 

金属3Dプリンティングのコストを理解する重要性

比較的低コストなエントリーレベルの金属3Dプリンティングソリューションも利用可能ですが、産業用途向けシステムには一般的により大きな投資が求められます。複雑な金属部品の積層造形(AM)には、高出力レーザー、堅牢な安全システム、高度なソフトウェアを備えた装置が不可欠です。こうした要件は初期投資に影響を与える一方で、積層造形は金型を必要とせず、迅速な試作開発や生産を可能にするため、従来工法にはないメリットをもたらします。

 

金属3Dプリンターの初期投資に影響を与える主な要因

金属3Dプリンティング全体のコストに大きく影響する要素の一つが、装置本体の価格です。DMLSなどの技術を採用した産業用金属3Dプリンティングシステムは、信頼性と再現性の高い生産を実現するために設計されており、そのため、高度なハードウェア、プロセス管理、安全システムへの投資が必要となります。一方で、エントリーレベルのソリューションは初期投資を抑えることができますが、造形サイズ、材料の選択肢、生産能力などの面で制約が生じる場合があります。金属3Dプリンターの価格に影響を与える主な要因として、以下のものが挙げられます。

  1. 造形サイズ:造形チャンバーが大きいほど、1回の造形でより大きな部品や多くの部品を製造できますが、その分システムコストも高くなります。
  2. レーザー数と出力:複数レーザーを搭載したシステムは高い生産性を実現できます。一方で、レーザー数や出力の増加に伴い、装置コストも高くなる傾向があります。
  3. 自動化と粉末管理:自動ふるい分け機能、不活性ガスの再利用機能、統合ソフトウェアなどの機能は、手作業の省力化に貢献する一方で、システムの複雑さや導入コストを高める要因となります。
  4. 材料対応力:ステンレス鋼、チタン、ニッケル合金、銅など、幅広い金属材料に対応するには、高性能なろ過システムや安全システムが必要となります。
  5. ソフトウェアと接続性:高度なモニタリング機能、MES(製造実行システム)との連携機能、品質保証ツールなどは、追加のソフトウェアライセンス費用が発生する要因となります。

EOSは、コンパクトなシングルレーザーシステムから、高い生産性を実現する「EOS M4 ONYX」のようなハイエンドモデルまで、幅広い産業用金属3Dプリンターを提供しています。
EOS M4 ONYXは、生産性を50%向上させるとともに、部品コストを最大30%削減することが可能です。金属3Dプリンターを選定する際には、試作開発向けか量産向けかといった用途に加え、対応する金属材料、造形サイズ、造形精度、およびオペレーターのスキルレベルを考慮することが重要です。

運用・維持管理にかかる費用

初期投資だけでなく、装置導入後に発生する継続的な運用コストも重要です。部品単価(CPP:Cost per Parts)は、設備投資、材料費、人件費、運用・維持管理費用によって決まります。装置の稼働率を高めることで、固定費をより多くの部品に配分できるため、CPPを低減することが可能です。

材料費は部品単価を左右する主要な要因の一つです。ステンレス鋼は比較的経済的な材料ですが、チタンやニッケル基合金は、高度な粉末製造技術や品質管理も厳格なため、コストが高くなる傾向があります。材料選定、粉末品質、粒度、サプライヤーの信頼性も、最終的な部品コストに影響を与える重要な要素です。その他の運用・維持管理費用として、以下のものが含まれます。

  • 不活性ガス:アルゴンまたは窒素は、安定した造形環境を維持するために必要です。
  • 電力消費:産業用金属3Dプリティングシステムは、複数のレーザーを搭載している機種では、消費電力が高くなる傾向があります。
  • メンテナンス:安定した造形品質を維持するために、フィルター、リコーター部品、光学部品などの定期的な交換が必要です。
  • ソフトウェア:設計、シミュレーション、品質管理に使用するソフトウェアのライセンス費用や保守費用が継続的に発生します。
  • 施設要件:換気設備、粉末材料の保管、安全対策設備などの整備が必要です。

「EOS Cost & Carbon Calculator(EOSコストとカーボン計算ツール)」
は、装置費用、材料費、後処理費用、消耗品費、間接費など、部品単価(CPP)を可視化し、透明性の高いコスト分析を可能にします。また、造形パラメータデータを取り込むことで、最大95%の精度でコストや生産シナリオをシミュレーションし、より確かな投資判断や生産計画の立案を支援します。

装置の稼働率を向上させることも、コスト削減の重要なポイントです。EOSの「Grenzebach Dual Setup Station」は、造形ジョブの切り替え作業を効率化することで、装置の生産稼働率を60%から90%へと向上させ、ジョブ間のダウンタイムを削減します。その結果、生産性向上と部品コストの低減に貢献します。

EOS金属材料

設計と後処理が積層造形の投資対効果(ROI)に与える影響

設計の複雑さがコストに与える影響

ラティス構造や内部流路などの複雑な形状は、積層造形の大きな強みの一つです。これらの設計により、材料使用量や部品重量を削減しながら、より高い性能を実現できます。設計や造形条件の最適化に追加の工数を要する場合もありますが、部品点数の削減や部品統合によって組立工程を簡素化できるため、トータルコストの削減やROIの向上につながります。

積層造形のための設計(DfAM:Design for AM)の考え方を取り入れることで、大きな効果が得られます。例えば、部品統合の推進、造形スペースの最適化、造形プレートへの部品の効率的な配置などが挙げられます。これらの手法により、レーザー照射時間やサポート材の使用量、粉末消費量を削減できるため、製造コスト全体の低減に貢献します。

 

後処理

後処理工程も、総コストに大きく影響する重要な要素です。

  • サポート材の除去:造形プレートから部品を取り外し、サポート構造を除去する工程です。
  • 熱処理:内部応力の除去し、材料特性を安定化させるために実施されます。
  • HIP(Hot Isostatic Pressing/熱間静水圧加圧処理):重要な用途向けに、材料の密、度を高め、内部の気孔を低減することで高い信頼性が求められる用途に対応します。
  • 機械加工:重要な機能部において、厳しい寸法公差を実現するために実施されます。
  • 表面仕上げおよび検査:表面品質の向上と、最終用途に求められる部品品質や健全性を確認するために実施されます。

さらに、EOSのコンサルティング組織であるAdditive Mindsは、後処理工程の最適化や造形プロセスの効率化を通じて、部品コスト削減と生産性向上を支援しています。

金属3Dプリンティング導入を成功させるための判断ポイント

金属3Dプリンティングのコストは、装置への投資、材料費、運用コスト、設計、後処理など、さまざまな要因の組み合わせによって決まります。従来の製造方法と比較すると、積層造形は複雑な部品や少量から中量産の用途において競争力があり、金型費用を削減できるというメリットがあります。積層造形のコストを最適化するためには、企業は以下の点を検討する必要があります。

  • 不活性ガス、電力、ソフトウェアを含む、すべての固定費および変動費を定量的に把握する。
  • 造形方向(オリエンテーション)を最適化し、サポート構造と造形時間を削減する。
  • 在庫削減、認証取得期間の短縮、オンデマンドのスペアパーツ供給といった間接的なメリットも評価する。

さらに詳しく知りたい方は、EOSまでお問い合わせください。金属3Dプリンティングソリューションに関するご相談を承ります。また、EOS金属3Dプリンターが、性能要件と予算目標の両立にどのように貢献できるかをご確認ください。

EOS M4 ONYX

インスピレーションを得る